飲食店開業もクラウドファンディングで！成功するための活用のポイント

ビジネスのスタートを夢見る事業者と、投資したい方をつなぐ「クラウドファンディング」。現在は、飲食店の開業資金を集める方法としても普及しています。こちらでは、クラウドファンディングの概要と、飲食店の開業資金調達方法としてクラウドファンディングを利用するポイントについてお話します。

飲食店開業にも利用できるクラウドファンディングとは？

クラウドファンディングとは「Crowd（群衆）」と、「Funding（資金調達）」からなる造語です。「サービスや商品を世に展開したい事業者」と「魅力的な投資対象を探している投資家」をつなげる手法を意味しています。事業者、投資家がクラウドファンディングを利用できるサイトを、一般的に「クラウドファンディングプラットフォーム」と呼びます。

文化としてのクラウドファンディングは17世紀頃に生まれたと言われています。ニューヨークのランドマークである自由の女神像も、クラウドファンディングによる出資で建てられたものです。アメリカでは2009年にプラットフォームの最大手である「Kickstarter」が誕生しています。

日本でクラウドファンディングが注目を集めたのは、2011年に起きた東日本大震災がきっかけです。復興支援に使われる資金集めの手法として、活用され始めました。「Ready For?」「CAMPFIRE」といった国内プラットフォームが生まれたのもこの頃です。

現在では、多くの事業者が夢をかなえる方法として利用されています。クラウドファンディングで集めた資金で、飲食店を開業する例も少なくありません。

専用プラットフォームを選ぶポイント

現在、国内クラウドファンディング事業は活況であり、多くのプラットフォームが運営されています。飲食店開業にあたっては、複数のプラットフォームの中からベストワンを選ばなければなりません。各プラットフォームには提供サービス内容に違いがありますので、注意が必要です。以下では専用プラットフォームを選ぶポイントについてお話します。

クラウドファンディングの種類を理解する

クラウドファンディングは主に3つの種類に大別されており、プラットフォームによって提供している種類が違います。まずは以下の3つの種類について概要を抑えましょう。

✓ 寄付型
寄付型は、その名のとおり「寄付」として出資をするクラウドファンディングのタイプです。原則として出資者へのリターンはありません。主に災害援助の方法として活用されています。

✓ 購入型
購入型は出資者に対して、新商品・新サービスが提供されるタイプです。集めた資金は新商品の開発コストや、店鋪の開業資金として使用されます。出資者にとっては商品・サービスを「購入」しているような状態のため、この呼称が用いられています。

✓ 投資型
リターンを金銭で受取るタイプのクラウドファンディングは、「投資型」と総称されています。利益の分配方法によって、「融資型」「株式型」「ファンド型」といった種類に細分化されます。

飲食店開業とマッチングが良いのは「購入型クラウドファンディング」

上述したクラウドファンディングの種類の中で、飲食店開業とマッチングが良いのは「購入型」だと考えられています。事前に援助してくれた支援者に、「特別なサービス」を提供するという形が、多くの飲食店事業者にとってイメージしやすいからです。例えば、プレオープンご招待、食事券、アメニティプレゼントなど、工夫次第で様々なリターン（お返し）を用意することができます。

さらに、特別なサービスを提供した支援者はそのまま飲食店の顧客になってくれる可能性もあるため、利益のサイクルが生まれます。

一口に「プラットフォーム」と言っても、上述したとおり提供しているサービスは異なります。飲食店の開業資金を調達したいのであれば、購入型クラウドファンディングのサービスを提供しているプラットフォームを選ぶのがおすすめです。また、飲食店に特化したプラットフォームもあります。

クラウドファンディングで資金調達をするメリット

飲食店にとってクラウドファンディングは魅力的な資金調達方法です。具体的なメリットを以下にご紹介します。

支援を得やすい

支援者へのリターンが不当面なファンドは支援を得づらい傾向があります。その点、飲食店はリターンが明確なため支援が集まりやすいようです。また、支援者にとってはレストランを予約する感覚や、ネット通販で買い物をするような少ない手間で出資できるので、気軽な投資として人気です。

拡散性がある

インターネット上に露出する資金調達方法という点から、開業前に情報が拡散します。過去には、実際に開業前の飲食店に対し、メディアの取材が入った例がありました。開業前に話題を集められれば、通常は苦労するスタート時の運営も円滑になるでしょう。また、支援者は積極的なインターネットユーザーであることが多く、SNS等でのシェアを通して口コミを集めることも期待できます。

需要を探ることができる

開業前に、お店のコンセプトや商品がユーザーにとって魅力的かどうか、その反応を探ることができます。そこでの反響が大きく、好評を得ることができれば、開業に向けて大きな自信になるでしょう。また、そうでない場合も、コンセプトやPR方法を軌道修正する材料として利用することができます。

クラウドファンディングでの資金調達を成功させるために

どんなお店で、どんな特徴があって、どんな美味しい食事ができるのか。わかりやすく伝え、多くの支援者の共感を得ることが成功へのポイントです。

支援者にメリットを提供する

支援者にとってどんなメリットがあるのか、具体的に提案するとより伝わりやすいでしょう。例えば、希少な食材や料理、ドリンクが味わえること、または比較的リーズナブルに楽しめるお店であることもメリットになります。さらに、普段使いでリラックスした時間を過ごせる、記念日に特別な食事ができる、などシチュエーションによる魅力を伝えるのも効果的です。

社会的な意義、貢献度がある

飲食店開業のクラウドファンディングについて、ユーザーにとってメリットがあると同時に、社会貢献につながる理念がある場合、より多くの支援者を集める傾向があります。地産地消をキーワードに、日本の地方の生産者とともに食材にこだわる姿勢や、フードロス問題や自然環境に負荷をかけない取り組みなどが考えられます。このような理念は多くの共感を得るきっかけとなるでしょう。

視覚に訴えかける

支援者を集めることと同時に、飲食店開業のためのプロジェクトをシェアし、口コミで広げてくれるユーザーを集めることも重要です。そのためには、視覚的に訴えかけることが効果的です。写真は文章の10倍もの情報量を伝えられると言われているので、できる限りビジュアルに優れた写真を準備することは欠かせません。自身の飲食店の魅力や理念を、より具体的に伝えられるよう工夫しましょう。また近年では動画の利用も増加しています。

クラウドファンディングで資金調達する際の注意点

クラウドファンディングを利用して資金調達する際、その他の資金調達の方法とは異なる部分も多く、戸惑うこともあるでしょう。ここでは注意しておきたいポイントを3つ、紹介します

類似のプロジェクトをチェックする

独自性のある飲食店、希少性のあるプロジェクトは支援者を集めやすい傾向があります。また、開業予定の飲食店と似たコンセプトのプロジェクトが立ち上げられている場合もあります。
どのようなプロジェクトに支援者が集まるのか、逆に集まらないのか、確認しておくことが重要です。

継続して発信する

飲食店開業のためのプロジェクトに関わる情報を、継続して発信していくことが必要です。インターネットサービスやSNSの利用に慣れていない場合、負担に感じることもあるかと思いますので、得意な人に頼むのもいいでしょう。開業前のプレ情報や準備の進捗状況など、新しい情報を継続してPRしていくことが理想です。

コスト計算をする

支援者を多く集めようとするばかり、リターンを豪華にする場合があります。あくまで開業資金を集めるためのクラウドファンディングなので、その他の予算とのバランスに充分注意しなくてはなりません。また、利用するプラットフォームに、掲載するための手数料を支払う必要がります。

まとめ

クラウドファンディングは飲食店開業の資金調達方法としておすすめです。

支援者の心を特別なリターンでつかめれば、オープンしてからも安定した稼働が期待できます。これまで多くの飲食店がクラウドファンディングで集めた資金で成功していますので、これから飲食店の開業を予定している方はぜひ活用してください。